(奥の細道) 月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして行かふ年も又旅人也。
深川 草の戸も 住み替はる代(よ)ぞ ひなの家
千住 行く春や 鳥啼き(なき)魚(うお)の 目は泪
日光 あらたふと 青葉若葉の 日の光
雲巌寺 木啄(きつつき)も 庵(いほ)はやぶらず 夏木立
須賀川 世の人の 見付けぬ花や 軒の栗
安積 早苗とる 手もとや昔 しのぶ摺(ずり)
平泉 夏草や 兵(つはもの)どもが 夢のあと
平泉 五月雨の 降り残してや 光堂
蚤虱(のみしらみ) 馬の尿(しと)する 枕もと
立石寺 閑さや 岩にしみ入 蝉の声
最上川 五月雨を あつめて早し 最上川
象潟や 雨に西施(せいし)が ねぶの花
越後路 荒海や 佐渡によこたふ 天の河
一家(ひとつや)に 遊女もねたり 萩と月
那谷寺 石山の 石より白し 秋の風
大垣 蛤(はまぐり)の ふたみにわかれ 行く秋ぞ
月ぞしるべ 此方(こなた)へいらせ 旅の宿
雲と隔つ 友かや雁の 生き別れ
なりにけり なりにけりまで 年の暮
枯枝に 鴉(からす)のとまりたるや 秋の暮
古池や 蛙飛込む 水の音
身にしみて 大根からし 秋の風
旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる