都々逸
1 諦らめましたよ どう諦らめた 諦らめきれぬと 諦らめた
2 あせる気持ちと 待たない汽車と ちょっとずれてた 安時計
3 あとがつくほど つねっておくれ あとでのろけの 種にする
4 あとがつくほど つねってみたが 色が黒くて わかりゃせぬ
5 言えばよかった ただ好きですと 飲んでくやしさ 升(ます)の酒
6 梅も嫌いよ 桜もいやよ もも(桃)ともも(桃)との あいがよい
7 お酒飲む人 花ならつぼみ 今日も咲け咲け(酒々) 明日も咲け(酒)
8 おのが稼業に 精出す人は 骨が折れても 気が楽だ
9 男を惚れさす 男でなけりゃ 粋な女は 惚れやせぬ
10 親がやぶなら わたしもやぶよ やぶに鶯 鳴くわいな
 *藪医者の息子ごときが芸人として大成できるわけがない、と叔父に江戸行きを止められたときに唄ったとされる。
11 親の意見と 茄(なすび)の花は 千に一つの 無駄もなし
12 親の意見と 冷や酒だけは 後でじんわり きいてくる
13 嫌いなお方の 親切よりも 好きなお方の 無理がよい
14 恋しいお方に 謎かけられて とかにゃならない 繻子(しゅす)の帯
15 恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす
16 立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花
17 たんと売れても 売れない日でも 同じ機嫌の 風車
18 都々逸も うたいつくして 三味線枕 楽にわたしは ねるわいな
19 涙出す癖 なおった今じゃ ツノ出す癖の 山の神
20 二十五までは 親兄弟に 後はあなたに やる命
21 ぬいだまんまで いる白足袋の そこが寂しい 宵になる
22 ねだり上手が 水蜜桃を くるりむいてる 指の先
23 飲んで忘れる つもりの酒が 想い募らす 春の雨
24 噺家殺すに 刃物はいらぬ あくび三つで 即死する
25 花にゃ誘われ ひばりにゃ呼ばれ 今日も出てゆく 春の山
26 人の恋路を 邪魔する奴は 窓の月さえ 憎らしい
27 ひとり笑うて 暮らそうよりも 二人涙で 暮したい
28 惚れさせ上手な あなたのくせに 諦らめさせるの 下手な方
29 惚れて通えば 千里も一里 逢えずに帰れば また千里
30 惚れて通えば 千里も一里 長い田んぼも ひとまたぎ
31 枕出せとは つれない言葉 そばにある膝 知りながら
↓■以下、五字冠りと呼ばれる五・七・七・七・五
32 あの人の どこがいいかと 尋ねる人に どこが悪いと 問いかえす
33 浮名立ちゃ それも困るが 世間の人に 知らせないのも 惜しい仲
34 後悔を 先に立たせて 後から見れば 杖を突いたり 転んだり
35 この酒を 止めちゃ嫌だよ 酔わせておくれ まさか素面じゃ 言いにくい
36 白鷺が 小首傾げて 二の足ふんで やつれ姿の 水鏡
37 内裏びな 少し離して また近づけて 女がひとり ひなまつり
38 はげ頭 抱いて寝てみりゃ 可愛いものよ どこが尻やら アタマやら