1 あすありと 思う心の 仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは
2 あらためて 孝行するも 不孝なり だいじの親の きもやつぶさん
3 上からは 明治だなどと 言うけれど 治明(おさまるめい)と 下からは読む
4 女ほど 世にも尊き ものはなし 釈迦も孔子も ひょこひょこと産む
5 かくばかり 偽り多き 世の中に 子の可愛さは 誠なりけり
6 カタカナの トの字に一の 引きようで 上になったり 下になったり
7 門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし
8 堪忍の なる堪忍は 誰もする ならぬ堪忍 するが堪忍
9 堪忍の 袋を常に 胸にかけ 破れたら縫え 破れたら縫え
10 酒のない 国に行きたい 二日酔い また三日目に 帰りたくなる
11 酒飲めば いつか心も 春めいて 借金取りも うぐいすの声
12 酒飲みは 奴豆腐に さも似たり はじめ四角で 末はぐずぐず
13 楽しみは 春の桜に 秋の月 夫婦仲良く 三度食う飯
14 月月に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月
15 憎まれて 世に住むかひは なけれども 可愛がられて 死ぬよりはまし
16 春浮気 夏は陽気で 秋ふさぎ 冬は陰気で 暮れはまごつき
17 梁を行く ねずみの道も 道なれや 同じ道なら 人の行く道
18 日の本は 岩戸神楽の 初めより 女ならでは 夜の明けぬ国
19 貧乏は しても下谷の 長者町 上野の鐘(金)の うなるのを聞く
20 貧乏を すれどこの家に 風情あり 質の流れに 借金の山
21 負けて退(の)く 人を弱きと 侮るな 知恵の力の 強き故なり
22 目にかすみ 耳にせみなき 葉はおちて 雪をいただく 老のくれかな
 *人生を春夏秋冬に喩えて老いゆく姿を歌ったもの
 *目がかすむこと。耳鳴りがすること。歯が抜け落ちること。白髪となること。
 *霞(春)、蝉(夏)、葉は落ちて(秋)、雪(ふゆ)
23 欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつけて 道を忘るる
24 世の中に 寝るほど楽は なかりけり 浮世の馬鹿は 起きて働く
25 世の中の 娘は嫁と 花を咲き 嬶(かかあ)と萎(しお)れて 婆々(ばばあ)と散るなり
26 世の中は 澄むと濁るで 大違い はけに毛があり 禿に毛がなし